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街や市場からセールスが消えていく 2005/09/17(土)
セールスマンは文字通り「販売者」である。
自社商品を顧客や見込み客に販売する役割を担っている人々を意味する。
この言葉はわかりやすいし、仕事の内容を正しく表現している。「セールスマン」という響きは、販売する側としてのプロフェッショナルという感じである。
ところが20年間、日本で名刺に「セールスマン」と記している販売会社をお見受けしたことがない。それはこの言葉があまりにもプロっぽくて、単刀直入すぎて、見込み客にギラギラしたイメージを与えるからだと思われる。
せっかくつかまえた見込み客が、
「彼は販売のプロなのだから、売りつけられないように気をつけよう」とでも思ってしまったのだろうか?
それはさておき、昭和40年代から50年代前半にかけて、国内でおびただしい数のセールスマンが活躍してきたものと思われる。
保険、車、ミシン、住宅、事務機、百科事典、英会話教材など。
経済成長をそのまま絵に描いたように、紺色の背広をきてアタッシュケースをもった男たちが街中に溢れかえっていた。
街の大通りを歩けばひと目でそれとわかる彼らとすれ違ったし、電車の中でもレストランでも同じだった。いま40代、50代の方は、そんな記憶が残っているのではないだろうか?

当時はどの会社も、画一化した商品を大量につくって多くの人々に売る。という単純なビジネスモデルだった。消費者の欲求も皆同じ方向を向いていたからそれで需給がなりたっていた。
企業の大量生産と同一指向性の高い消費者が市場経済をスパイラルに拡大させていた時代だった。
そのような中で、販売のプロたちが大いに活躍したのは容易に想像がつくだろう。
何しろ多くの企業は「つくったものを売る」というプロダクトアウトの発想だったし、同じものをたくさんつくってたくさん売ることしか考えていなかった。それがもっとも効率的な経営手法であったし規模の追求が競争原理だったのだ。
そして企業が営業部にもとめたのは、販売する側に立って、あくまでも販売者の論理で、販売に徹するプロを育成することだった。
販売する側のプロとは
「これが一番優れた商品です」
とあらゆる方法でいいきり、見込み客を説得できる人だった。「一番優れた商品」は全ての消費者にとって一番優れているという意味だ。
販売者の論理とは、「この商品のよさがわからないお客は、お客のほうがおかしい」というものだ。販売するときは、見込み客それぞれの価値観の違いを考慮している場合ではない。
一番いいものは、誰にとってもいいものであるはずだ。わが社の優れた商品の素晴らしさに異を唱えるお客がいたら、それはお客ではない。
無視して見込み客をさがせ!
お客はいくらでもいる。。。
いまこの時代において、旧時代の「販売者の論理」しかもっていないセールスマンは、業績を継続的にのばすことはできないだろう。
その理由は簡単だ。
昔は「一番優れている商品」に共感する同一指向性の人々が大勢いたのに対し、いまはそれが少数派だからだ。
消費者の価値観が多様化したために、それぞれに求めるものが違ってきているのだ。
その証拠に、いま多くの業界において商品が多品種少量化している。
ではどうすればいいのだろうか?
そのヒントは「購買者の論理」を持つことにある。

「そろそろしゃべるのをおやめなさい」より抜粋
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