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 龍馬はアダプテイター 2009/10/03(土)
童門冬二さんこのかたの本のなかで龍馬についての魅力を語っている部分があるので、抜粋します〜

坂本龍馬ファンにはしかられると思うが

わたしは龍馬を独創性のひとだとはおもわない

むしろ他人から得たヒントを最大限に活用。増幅したひとだとおもっている


だからみょうないいかたをすれば

かれは原作者ではなく、アダプテイション(脚色のひと)

だということだ


つまりいまでいえば

原作者でなく脚色者だということ


がたんなる脚本家でなく
原作をドラマ化するときに

かれ独特の才能を発揮し

時に原作以上の味や意味をもたらす

だからときには

かれのかいた脚本のほうが世の中にアピールし、原作をこえてしまうことがある


つまり現在でもよくあるが

原作からは骨子と登場人物だけをかりたという形態となる

こういう場合
その脚本は

完全に原作から独立した作品となる

龍馬は幕末維新を舞台に、いくつかそういうすぐれた脚本を書いた


そして

それが名タレントたちによって演じられ、


時代を動かし歴史を動かした


かれのえがいたドラマは大きな社会性をもっていた


こういう営為が可能だったということの理由は、あげてかれの

資質と努力による


まず資質から分析


●彼はアダプテイター(脚色家)であったため、原作(ヒント)をじっくり冷静にしかも見落としなくみつめることができた


●わたしたちがしばしばおかしがちなことで「あるが好きなところ

感動するところなどのプラス要因ばかりみて

嫌いなところ不快なところ、いわばマイナス要因を捨象してしまう
かれはマイナス要因もみて考慮することができた


●ドラマ化するためには、どんな細部もみおとしまいとする

アダプテイターの謙虚さとプロ意識が必要であることは間違いないが

それ以上に龍馬がとてつもなく好奇心旺盛だったことだ

悪い言葉を使えばのぞき人間

いい言葉を使えば、青春とは年齢でなく、みずみずしい好奇心と

チャレンジ精神だ!

というアメリカ詩人サミュエルウルマンの詩そのものが龍馬といっていいだろう


●龍馬は情熱のひとだったが短気ではない。かなり根気つよい
少年のころ彼にあったことのある徳富蘆花はゆったりと話すひとだったと

牛のようにゆっくりと素材を噛み十分消化してから今度は自分のもの
にその素材を再生したのが龍馬


●根気があるということは、かれはたとえば原作者が途中でなげだしたものあるいは原作者が死んでそのまま放置されるものなどにも丹念に

そして根気強くその結末をつくることに注力


●同時にまたその作業の途中で彼は独特のカンと眼力で原作者

自身が気づかなかった新しいことを発見した

これを脚本に加えた

龍馬のアイデアといわれる

薩長連合・海援隊の創設・船中八策・大政奉還建言などは彼の

オリジナルではない

全部他人からヒントをえている

がそのすべてが

●他人が途中でほおりだしたもの
●そのひとが途中で倒れて実現できなかったもの
●思いついたくせにその発想者本人が自分の思いついた価値を知らなかったもの
のいづれかである


龍馬自身がかんがえたものではない


これは他人からヒントを得ていたということであり
これなら私たちもできるとおもわせることができる人だから

人気があるのでは?


他人から学ぶことは多い

彼はオリジナルのひとでなくアダプテイターだ。
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