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空中庭園 FOCUS on People 小泉今日子さん |
2005/09/12(月) |
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過去にもシングマザーや殺人犯などさまざまな難役に挑戦してきた小泉今日子さん。4年ぶりに
主演として挑んだ映画作品「空中庭園」がこの秋に公開される。
ニュータウンに親子4人でくらすある一家の、家族の絆の崩壊と再生を描く物語で、彼女が演じるのは主婦絵里子。絵里子は、いわゆるカリスマ主婦でもセレブでもない。ごく平凡な日々をすごす主婦だ。思春期の子供たちに絶望や苦しみといった感情を経験させたくない。その思いがあまりに強いために帰って家族を追いつめてしまい、夫は浮気に走り子供たちはそれぞれ親にはいえない秘密をかかえてしまう。「家族を愛しているんだけど、実は彼女の思いは、自分を育てた母親にしか向けられていない。だから表面的にはうまくいっているように見えて何かをきっかけに家族が崩壊してしまう危険を常にはらんでいるんです以前
作者の角田さんから、“日本のクリスマスの電飾は外にむけられて飾られ”、ヨーロッパでは部屋のなかでよくみえるようにセットされている」という話を聞いたことがあって。わかり易い例だけどそんなふうに親子、夫婦が互いに向き合っていなくて、思いは外にむけられたまま。。実はこんな家庭がおおいのかも・・・
映画をきっかけに、自分自身の家族について思いがけない発見があったという。
「撮影が始まると、子供のころをおもいだすようになって。ずっと、うちのお母さんは母親に向いていないダメな母親なんだとおもっていたけど
本当は以外にいいお母さんで、向いていないのにがんばってたんだな、という記憶がよみがえってきたんです。勉強ができることより、女の子としてのお行儀や、困っているひとがいたらやさしくしてあげることのほうが大事。母から厳しくおしえられたこ“人として大切なこと”によって今の自分がつくられたのかなって、そんな風におもったりします。」
空中庭園の撮影終了後、久しぶりに長い休みをとったという。
彼女のエッセイには、しばしば旅先での愉快なエピソードが登場するだけに、この休暇中もきっと気ままなたびを楽しんだのでは?
「20代のころは、アフリカのサバンナにいって野生の動物をみたり、パリにでかけたり、毎回のように旅を楽しんでいましたね。でもいまはごはんをつくって植木に水をやって、猫と遊んで・・とおばあちゃんみたいな生活をしてました(笑)旅は大好きだけど、今思うと私にとっての旅行はもっと知りたい、世界はこんなに広いんだ!と実感したい、そういう好奇心を満たすための存在であっていわば“攻め”に近いもの。高いテンションが要求される仕事の後で心と体を癒すには、旅をするよりも家でゆっくりしたほうがリラックスできますね」この数年旅にでることが少なくなったがそれは決して“知りたい”という欲求が薄れてしまったのではなく、
「最近、人生もまた旅なんだなあと思えるようになったからでしょうね。生きていれば、毎日、いろんな人やモノとの出会いがあって悩んだり感動したり。家の近所を散歩するだけも発見はあるし、庭で柿や金柑、ブルーベリーなどの植物をそだてていて、これが手間がかかるから退屈している暇がないんです。植物を育てるのって楽しいですよもくもくと大きくなって、実がなってそれがちゃんと食べられる。そういう姿をみていると生きていることは素敵だなと、元気をもらえますから。。。
生きることも旅・・・・こんなふうに思えるようになったのも、実は過去にあちこち旅をしたおかげなのだという。初めて訪れたまちでもたいていガイドブックをもたずに“この道なんとなく楽しそう!”とかカンを頼りにあるいちゃうほう。
それで窓にかわいい洗濯物がかかっていたり、おじいちゃんとおばあちゃんが仲良く手をつないでベンチに腰掛けている。。。そんな素敵な風景に偶然であえたらそれだけでハッピーな気持ちになれるんです。目的をきめてキレイに舗装された道をいくよりも怪しげな路地とかけもの道を選んだほうがおもしろいものに出会える。実際の旅でそれを学んだから、人生でも同じようなたびをしたいなっておもいます。困難があっても、より刺激的な出会いがある人生を選びたいし、何かにぶつかって流れがかわったら、それに身をまかせてみるとか・・・ゴールのない、どこにたどりつくかわからない、こんな人生という旅を楽しむことができたらいいな」
けもの道をえらべば、道にまよったり、間違ってがけ下におちてしまうという危険性だってあるのだが。。。
「そこでケガをしてしまったら困るけど、旅も人生もハプニングがあるからこそおもしろいとおもいませんか?どんなハプニングも10年後には思い出深いエピソードになるし、キレイな景色はもちろん心に残るけど、後々になって、友達と語りたいのは、実は失敗談のほうなのですよね。10年たってもこの話で笑えるのかって(笑)」
けっして強がりではない。迷ったり遠回りしたり
おもいがけない出来事があるからこそ人生は
豊かになると、まっすぐな瞳でかたる。
この人はなぜこれほど、強くポジテイブでおおらかに物事に立ち向かうことができるのだろうか?
「たとえば今日、この瞬間の出来事って2度とおこらない。その偶然ってよく考えてみると奇跡のようでしょう?人生は一瞬一瞬がライブみたいなもの。どんな問題が起こっても、今ここにいる人にしか味わえない経験だと考えたら、それをたのしんじゃおうとおもえるんじゃないかな」
まもなく彼女の人生のたびは、40代という未知の世界へ向かおうとしている。
「20代でついてしまった贅肉を、30代になって一生懸命そぎ落としてきました。だから40代のテーマは、せっかくそぎおとした贅肉が再びつかないように“心に筋力をつける”ことかな」
心に凛と美しい筋力をつけた彼女の姿をスクリーンで、舞台で、もっとみてみたいとおもう |
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